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喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)

喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)
(2010/10/26)
森 博嗣

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13/11/30購入⇒13/11/30読了。

森博嗣氏の自伝的小説。
「そうか、ついにこの時代を書いたのか」という印象でした。
折に触れて森博嗣氏の口からは「助教授になる前の時が一番研究者として鋭かった」と語られていますが
本作で語られているのはまさにその時代です。

主人公の「僕」の主に大学4年から大学院博士課程までの日々が淡々とした筆致で描かれています。
描かれているのは大学での研究に関わる事、そしてその周囲の一握りの人間だけです。
その時世間で何が起こっていたのかなんてことは一切描かれていません。
「僕」がそのことに微塵も興味を感じていないからです。

代わりに作者の森博嗣氏が語っていた「研究者として本当に面白かった時期」が描かれています。
もちろん読者に合わせて研究内容そのものに関わることについては
(ご本人にとっては非常にエキサイティングなものだったのだと思いますが)描かれておらず、
描写されているのはその周囲の出来事です。

研究について考察し、(当時はまだ貴重だった)コンピュータで解析を行い、その結果からまた考察を行いという研究の日々。

その間にも同級の女の子と付き合うことになったりする出来事も起こるのですが
そこは森博嗣氏。まったく踏み込みません。そもそも「僕」の一人称で話が進むので
女子との会話でも「僕」が観察した状態しか描写されないので非常にドライなやり取りが交わされます。
なにしろ同級の女子に大学の四年間ずっと好きだったと告白されて付き合うことになった感想が
『成り行きとはいえ、こういう具合に、すなわち特に自分から努力をせずに自然にガールフレンドが
できたことは、もちろん困った状況ではなく、大いに歓迎すべきだろう、とは思う』
という具合です。

自分も工学系の大学院を出ているので研究室の雰囲気などは知っていますが
同じ工学といっても実験系と理論系で様子は異なりますので結構新鮮な印象でした。
また時代も一昔前ですのでまだパソコンなんてものはなく、解析にコンピュータを使うといっても
大学の計算機センタでパンチでカードに穴を空けてそれを読み込ませて計算するとか、
プログラミングもまだC言語が一般的ではないとか、
論文の執筆もロットリングを使った手書きで行うとか、数式はタイプライタで打ち込むとか
昔はこうやっていたのか、と思う次第でした。
また大学院まで進むとなんとなく見えてくるとは思いますが、多少大学の裏事情のようなものも描かれています。

時代は少し古いですが、理系の大学の研究の事や、研究者という人々の雰囲気が感じられるものになっています。
本文でも語られていますが、大学でも3年時までと研究室に配属される4年からは大きく様子が異なります。
これから、特に理系で大学に進まれる方などは面白く読めるのではないでしょうか。
また往年の森博嗣ファンの方は(あくまでフィクションではありますが)森博嗣氏と奥様のささきすばる氏との
なれそめが描かれた一冊として貴重な作品になるかと思います。
(何しろ「僕」と結婚する女子の名は「清水スピカ」です)

両方の要素を持っていた自分は思わず一気読みするくらいに面白く読んでしまった作品です。

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