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異形にされた人たち (河出文庫)

異形にされた人たち (河出文庫)異形にされた人たち (河出文庫)
(2009/01/26)
塩見 鮮一郎

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13/7/27購入⇒13/7/27読了。

差別・被差別問題に関心を持つとき、必ず避けて通れない「異形」視された人たちに関する考察・研究をここにそろえる。
貧民窟、サンカ、弾左衛門、乞食、別所、東光寺、俘囚、山哉『特殊部落の研究』…。
四民平等で、かつて差別された人々は忘れ去られたが、近代の目はかれらを「異形の人」として、「再発見」するのである。

内容としては著者が差別関係の復刻本に寄せた解説などをまとめたものなので断片的ではあるが
著者のスタンスは分かるのではないかと思う。
明治維新により江戸時代の身分制度が変格し、それまでいた人たちは忘れ去られ、「再発見」される。
これまでいた人たちがある日突然消えたわけではないのに。

最初の章、「異形にされた人たち」では徳富蘆花の貧民窟探訪の文を引きながら、差別の構造に言及する。
「しかし、蘆花が、おずおずと米と干しイワシを老人にさしだしたにしても、貧民窟の老人にとっては、目のまえに立つ蘆花こそが、加害者のひとりなのだ。
(中略)この構造は、こんにちでもあてはまる。極貧の当事者を除けば、支援者のすべては、蘆花と同じ位置にいる。ボランティアも同じである。
支援者もボランティアも、救済を必要とするような社会を作っている側に所属している。」
この一文はかなりの重みを持って受け止めた。
差別を(特に貧困による差別を)語るときに語り手となるものは大概が「差別する側」に属している。
ではどうすべきかを著者は語っていはいない。だがこの問題に触れるときには各個人が考えるべき問題ではあると思う。
もちろん著者もそうであろうし、いまこの文を書いている自分もそうだろう。

続く社会制度の枠組みに基づいて彼らと相対する公務員についても言及している。
「福祉事務所の公務員の側に立って考えるならば、日々、極貧民に向かい合っていて、焦燥と憔悴感しか残るまい。」
役所の福祉担当をしていた友人がいる自分に取ってみればいささか突き放しすぎな文にも感じたが、
自分自身も当事者でないのだから、著者を責めることはできない。
まさにこの本を読んだ直前に別の医者をしている友人と「医療費を払えない/払わない人」について話していた。
病院としては「来るものは拒まず」として治療にあたる。
だが治療が済めば行くところがないとしても出て行ってもらうしかない。
その場合に受け入れ先を、住む場所を確保するのが福祉担当の友人の仕事になる。
また病院としても治療費をもらわなければいけないから、事務方の人間が治療費の請求に赴かなかればならない。
酒の席でもあるため「ではどうしたらいいのか」まで踏み込んで話をすることはできなかったが、
それが心に引っかかっているままに読んだので、先の一文には個人的な重みを抱えたまま向き合う事にもなった。

自分一人で解決する問題ではないとも思うし、自分でも結論というものは出ていない。
畢竟、個人個人がなにかもやもやしたものを抱えたまま向き合うしかない問題なのかもしれない。

「山窩はなぜ興味をそそったか」「虚構としての山窩」「コトリとサンカ」では「山窩(サンカ)」について
言及されている。

最初の「山窩はなぜ興味をそそったか」では「山窩(サンカ)」という呼称の由来について言及している。
いまではこの呼称自体が見られなくなっているように思う。
それが差別語として規制された結果なのかは分からないのだけども、
本文によればそもそもこの呼称自体の由来が怪しげではあるようである。
一番に気になったのは
「民主主義は様々な意見を認めるといいながらも、「民主主義」を疑うことは許さなかった」(本文中傍点あり)という一文。
だから駄目だとは全く思わないけれども、そういう一面があることを自覚しておく必要はあると思う。

全体的に読んでいると現実に目の前にある問題について突きつけてくる部分が多い。
短く、割合さらっと読める部類の本ではあるとは思うが、
(個人の状況による所もあるかもしれないが)読後に予想以上に重くのしかかってくるものがあった。
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